【地域連携室Interview】佐藤雅俊-Masatoshi Sato-
Q1 前職ではどんなお仕事をされていましたか?
前職は神奈川県にあるリハビリ専門の病院で相談員(医療ソーシャルワーカー)として勤務していました。脳梗塞などの脳血管疾患や骨折後の患者様のリハビリを提供する医療機関で、入院中の患者様やご家族の相談事、退院後の生活環境の調整等のお手伝いをさせていただいておりました。
Q2 訪問診療の相談員になろうと思ったきっかけを教えてください。
訪問診療に興味を持ったきっかけはたくさんありますが、一番のきっかけは大好きな“ばあちゃん”の存在が大きかったと思います。2021年に私の祖母が天国に旅立ったのですが、晩年は肺がんや膀胱がんを患い、自宅で在宅療養をしていました。療養期間中は主に両親が祖母の介護・看護を行っていましたが、専門的な身近なサポーターとしてはケアマネジャーさん、訪問看護師の方々の支えがあったからこそ、穏やかな最期を迎えられたように思います。病気を患った患者様、それを支えるご家族の想い・辛さに自分自身も身近で寄り添い、支えていきたいと思ったのが、訪問診療の分野に飛び込んだきっかけです。
Q3 大変だったエピソードを教えてください。
私自身のプライベートな経験もあり、ある種、“想い”だけで飛び込むように転職をしたわけなのですが、「病院」の経験しかない私にとっては日々勉強の毎日です。これまで生活していた場所とは違う土地で、また医療の分野とはいえ「在宅」という新しい領域で働くことは、想像以上に新鮮で、私の小さなキャパシティをフル稼働させている毎日です。相談員だけでなく、医師や看護師、メディカルサポーター、医療事務の方々との距離も近い環境で働ける場所なので、それぞれの職種の強みや知識・技術を少しでも吸収できるように、目の前の仕事に全力で取り組んでいます。
Q4 仕事の中で嬉しかったエピソードを教えてください。
先日、当院に訪問診療で関わらせていただいている患者様のご家族がご訪問されました。その方はいろいろな事業所からの電話連絡に情報が錯綜している状態で、情報が整理しきれず“困っている”ご様子でした。お困り事を、生活の出来事を交えながらお話を伺っていくと、少しずつ情報が整理されていき、相談者の方の表情も次第に朗らかになっていく様子が伺えました。帰りは愛用の小さなシルバーカーを押してお帰りになられたのですが,その後ろ姿を見送りながらエールを送らせていただき、「こういう仕事がしたかったんだよなあ」と改めて実感させていただける出来事でした。
Q5 訪問診療の相談員という職業の印象を教えてください。
当院の理念に“あなたと地域の未来にあかりをともせる存在であり続ける”とありますが、自身の経験も踏まえて、我が家(住み慣れた地域で)生活する患者様・ご家族を月明りのようにそっと優しく照らせる“あかり”的な存在になりたい、と。きっとなれる職業であると感じています。
Q6 相談員として大切にしていることは。
これまでの医療ソーシャルワーカーの経験を踏まえて、私が大切にしていることは「クッション材」「潤滑油」のような相談員であるということをモットーに努めてきました。調整のお手伝いをさせていただく患者様、ご家族へはもちろん、自身の所属する組織のスタッフ間や関係機関の方々とも円滑にコミュニケーション(連携)が図れるように、今後もクッション材、潤滑油の存在で居続けられたらいいなと思っています。
Q7 あかり在宅の良いところを教えてください。
優しくて強い、プロ意識の高いスタッフが多いところです。
あとは・・・面白い経歴(?)のある方が多い職場だと思います。音楽業界で勤めていた方、宅地建物取引士の方、沖縄で仕事をされていた方、プロのピアニストの医師等、多様な経歴を持つスタッフが多く、だからこそ多様な発想、先進的な意見交換が日々行われているのだなあと強く感じます。私自身が医療の分野でしか働いてきませんでしたので、多様な経験のある方々とお話できる今の環境はとても新鮮で魅力的に感じています。
Q8 訪問診療の相談員を目指している方へアドバイスをお願いします。
お時間があるようでしたら、一度見学・体験に行かれるのがいいと思います。
自分が納得するまで見て,感じて決断することをお勧めします。