【看護部】良質な睡眠をとるために必要なこと
こんにちは、看護師の原田です。暑い日が続く季節になりました。
暑いと寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなることもあるのではないでしょうか?今回は『睡眠』についてお伝えします。
睡眠はなぜ必要か
睡眠は健康の維持・増進に必要な休養活動です。良い睡眠は、身体的な健康のみならず、精神的な健康にも欠かせません。睡眠が悪化することで、様々な疾患の発症リスクが増加し、寿命短縮リスクが高まります。
では、良い睡眠とはどのような睡眠のことをいうのでしょうか。
余談ですが、人は1日7.5時間睡眠をとると仮定すると90歳まで生きたとして246375時間(人生の3割)を睡眠に使うそうです。そう考えると、どのような睡眠時間を過ごすかがより大切であるように思います。
良い睡眠は、日常的に質(睡眠休養感)・量(睡眠時間)が十分に確保されることで得られます。良い睡眠をとるためのヒントを「世代ごとの睡眠」と「良質な睡眠づくり」で紹介します。

世代ごとの睡眠
- ご高齢の方
・長い床上時間が健康リスクとなるため、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保する。
・食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
・長い昼寝は夜間の良眠を妨げるため、日中は長時間の昼寝は避け、活動的に過ごす。
- 成人されている方
・適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する。
・食生活や運動等の生活習慣、寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める。
・睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する。
- 子ども
・小学生は9時間〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保する。
・朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかり摂り、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避ける。
良質な睡眠づくり
睡眠に対する感覚や睡眠を確保する手段は、個人によってさまざまです。良質な睡眠を得るためにできることを「睡眠環境」「生活習慣」「嗜好品」に分けて紹介していきます。
睡眠環境
- 光
起床後に朝日を浴びることで体内時計がリセットされ脳の覚醒度が上がり、気持ちのいい目覚めにつながります。日中にできるだけ日光を浴びることで、夜間に睡眠を促すホルモンであるメラトニンの量が増加し、入眠が促進されます。また、就寝の2時間前からメラトニンの分泌が始まります。そのため、それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制され、睡眠・覚醒のリズムが崩れることで寝つきが悪くなるといわれています。寝る前にはスマートフォンや照明などの強い光を避けましょう。

- 温度
深部体温(身体内部の温度)は、日中の起きている間に上がり、夜間の睡眠時に下がります。就寝の約1~2時間前に入浴することで深部体温が低下し、ベッドに入ってから眠りにつくまでの時間を短くする効果があるといわれています。また、夏は寝室の室温が上がることで睡眠時間が短くなり、睡眠の効率が下がることが報告されています。そのため、夏の寝室はエアコンを用いて涼しく保つことが重要です。冬は室温の影響を受けにくいといわれていますが、寝具を用いて暖かくすると睡眠への影響を受けにくいです。


生活習慣
- 運動
運動習慣がない人は、睡眠休養感が低いことが分かっています。日中に身体を動かすことで、寝つきをよくし、中途覚醒(睡眠途中に目が覚めてしまうこと)を減らすことが期待できます。一方で、就寝前1時間以内の激しい運動は、夜の眠りを妨げる可能性があります。夕方や夜に運動する場合は、就寝の約2~4時間前までにしましょう。

- 食事
朝食をとると、体内時計を調整することができます。朝食を抜くことや就寝前の夜食や間食は、体内時計を狂わす要因となります。
また食塩を摂りすぎると、夜間の排尿回数が増え中途覚醒に繋がります。日ごろから減塩を心がけることで、夜間頻尿が軽減し、夜中に目覚める頻度が減少することが期待できます。

嗜好品
- カフェイン
1日の摂取量は400mg(コーヒー700ml程度)を超さないようにしましょう。
夕方以降に摂取すると、夜の睡眠に影響が出る可能性があります。
- お酒
飲酒量が増えると、中途覚醒の回数が増えてしまいます。夜に大量のアルコールを摂取すること(深酒)は避けたほうが良いとされています。また、寝つきをよくするための「寝酒(寝るためのお酒)」も避けましょう。
- ニコチン(たばこ)
タバコの主な成分であるニコチンには覚醒作用があり、睡眠に悪影響を与えると考えられています。
また、直接的な喫煙だけでなく、受動喫煙も睡眠に影響を及ぼすため周りへの配慮も必要です。
どれかひとつでもみなさんの素敵な睡眠ライフのために取り入れてはいかがでしょうか。
睡眠に関する症状は、「睡眠環境、生活習慣、嗜好品」によるものと「睡眠障害」によるものがあります。前者に起因する睡眠関連症状は、日常生活を整えることで改善が期待できます。しかし、日常生活を変えても睡眠に関連する症状が続く場合、睡眠障害が潜んでいる可能性が考えられます。そのような場合は、速やかにかかりつけの医師へ相談もしくは医療機関を受診しましょう。
上記厚生労働省サイトより引用しました。https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf