【看護部】高齢者の筋トレ完全ガイド|サルコペニア・フレイルを防ぐスクワット&ステップアップ
2025年7月17日
前回記事「高齢者の健康を守るタンパク質」(2024-08-24公開)では必要量と摂り方のコツを解説しました。本稿では、そのタンパク質を“活かす” 筋力トレーニング に挑戦します。

目次
- サルコペニアとフレイル ~いま筋トレが必須な理由~
- 安全スクワット:イスがあればOK
- ステップアップ:階段を味方に
- よくある質問(Q&A)
- 今日から始める3ステップ
- 医療者向け補足・参考資料

1. サルコペニアとフレイル ~いま筋トレが必須な理由~
- 60歳以降、筋肉量は 年間 1 % 以上減少しやすく、放置すると転倒・骨折リスクが急上昇します。

- 厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は
- 筋力トレーニング:週2〜3日
- 歩行など 3メッツ以上:1日40分以上
を推奨しています。
- 筋肉トレーニングについて
≪メリット≫ | ≪期待できる効果≫ |
筋肉量アップ | 転倒・骨折リスク ↓ |
基礎代謝アップ | 糖尿病・高血圧などの予防 |
タンパク質を有効活用 | 食事の成果が“目に見える” |
Point! 体を動かすと“食べたタンパク質”が筋肉に送り込まれやすくなります。

2. 安全スクワット:イスがあればOK
基本フォーム
≪ポイント≫ | ≪説明≫ |
姿勢 | 背筋を伸ばし、胸を軽く張る。足幅=肩幅+こぶし1つ。 |
動作 | ① イスの前に立ち、お尻を後ろへ引くイメージで腰を下ろす ② イスに触れる直前でストップ→ゆっくり立ち上がる |
回数 | 8〜10回 × 2セット/週2〜3日 |
バリエーション | ハーフスクワット(浅く)・ワイドスクワット(膝負担軽減) |

注意点
- 膝がつま先より前に出ない
- 立ち上がるときに 息を吐く
- 膝・腰に痛みがあれば中止して医師へ相談

3. ステップアップ:階段を味方に
基本フォーム
≪ポイント≫ | ≪説明≫ |
準備 | 10〜15 cm 段差(階段1段目・踏み台)。手すり必須 |
動作 | ① 片足を段差に乗せ、体重を前足に移して立ち上がる ② 乗せた足からゆっくり降り元の姿勢へ |
回数 | 左右各10回 × 2セット/週2〜3日 |
バリエーション | 段差高を調整・テンポをスローに |

注意点
- 上がる足の膝は 伸ばし切らず軽く曲げる
- めまい・息切れ時は休憩
- 片手で手すりを触れて安全確保

4. よくある質問(Q&A)
≪質問≫ | ≪回答≫ |
膝が痛い | イスに座る深さを浅く、可動域を狭めましょう。改善しなければ専門医へ。 |
血圧が高い | 息を止めず“フーッ”と吐く呼吸法で血圧上昇を抑制。 |
持病がある | 高度心疾患・変形性膝関節症などの方は必ず主治医に可否確認を。 |
腎・肝機能が低下 | 高タンパク食は制限が必要な場合があります。サプリ使用前に医師へ相談を。 |

5. 今日から始める3ステップ
- 安全スクワット5回:痛みがでないフォームで
- ステップアップ5回:手すりも用いて
- この運動を週2〜3回を目標に

6. 運動後に豆腐ハンバーグ、鶏ささみのサラダ、ヨーグルトとナッツのボウルなど、以前紹介したタンパク質が豊富な食事も摂って、筋肉をつけて健康寿命を延ばしていきましょう。
※高タンパク食は制限が必要な場合があります。受診されている方は主治医に相談してください。

7. 医療者向け補足・参考資料
- WHO 2020 身体活動ガイドライン

免責事項
本記事は一般的な健康情報を提供するもので、医療行為や診断を代替するものではありません。ご自身の健康状態に不安がある場合は、必ず医師・理学療法士等に相談してください。

タグ: #フレイル予防 #在宅リハビリ #高齢者筋トレ #サルコペニア #たんぱく質