【看護部】高齢者の筋トレ完全ガイド|サルコペニア・フレイルを防ぐスクワット&ステップアップ 

前回記事「高齢者の健康を守るタンパク質」(2024-08-24公開)では必要量と摂り方のコツを解説しました。本稿では、そのタンパク質を“活かす” 筋力トレーニング に挑戦します。 

目次 

  1. サルコペニアとフレイル ~いま筋トレが必須な理由~ 
  1. 安全スクワット:イスがあればOK 
  1. ステップアップ:階段を味方に 
  1. よくある質問(Q&A) 
  1. 今日から始める3ステップ 
  1. 医療者向け補足・参考資料 

1. サルコペニアとフレイル ~いま筋トレが必須な理由~ 

  • 60歳以降、筋肉量は 年間 1 % 以上減少しやすく、放置すると転倒・骨折リスクが急上昇します。 
  • 厚生労働省『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』は 
  • 筋力トレーニング:週2〜3日 
  • 歩行など 3メッツ以上:1日40分以上 
    を推奨しています。 
  • 筋肉トレーニングについて 
メリット 期待できる効果 
筋肉量アップ 転倒・骨折リスク ↓ 
基礎代謝アップ 糖尿病・高血圧などの予防 
タンパク質を有効活用 食事の成果が“目に見える” 

Point! 体を動かすと“食べたタンパク質”が筋肉に送り込まれやすくなります。 

2. 安全スクワット:イスがあればOK 

基本フォーム 

ポイント 説明 
姿勢 背筋を伸ばし、胸を軽く張る。足幅=肩幅+こぶし1つ。 
動作 ① イスの前に立ち、お尻を後ろへ引くイメージで腰を下ろす 
② イスに触れる直前でストップ→ゆっくり立ち上がる 
回数 8〜10回 × 2セット/週2〜3日 
バリエーション ハーフスクワット(浅く)・ワイドスクワット(膝負担軽減) 

注意点 

  • 膝がつま先より前に出ない 
  • 立ち上がるときに 息を吐く 
  • 膝・腰に痛みがあれば中止して医師へ相談 

3. ステップアップ:階段を味方に 

基本フォーム 

ポイント 説明 
準備 10〜15 cm 段差(階段1段目・踏み台)。手すり必須 
動作 ① 片足を段差に乗せ、体重を前足に移して立ち上がる 
② 乗せた足からゆっくり降り元の姿勢へ 
回数 左右各10回 × 2セット/週2〜3日 
バリエーション 段差高を調整・テンポをスローに 

注意点 

  • 上がる足の膝は 伸ばし切らず軽く曲げる 
  • めまい・息切れ時は休憩 
  • 片手で手すりを触れて安全確保 

4. よくある質問(Q&A) 

 質問 回答 
膝が痛い イスに座る深さを浅く、可動域を狭めましょう。改善しなければ専門医へ。 
血圧が高い 息を止めず“フーッ”と吐く呼吸法で血圧上昇を抑制。 
持病がある 高度心疾患・変形性膝関節症などの方は必ず主治医に可否確認を。 
腎・肝機能が低下 高タンパク食は制限が必要な場合があります。サプリ使用前に医師へ相談を。 

5. 今日から始める3ステップ 

  1. 安全スクワット5回:痛みがでないフォームで 
  1. ステップアップ5回:手すりも用いて 
  1. この運動を週2〜3回を目標に 

6. 運動後に豆腐ハンバーグ、鶏ささみのサラダ、ヨーグルトとナッツのボウルなど、以前紹介したタンパク質が豊富な食事も摂って、筋肉をつけて健康寿命を延ばしていきましょう。 

※高タンパク食は制限が必要な場合があります。受診されている方は主治医に相談してください。 

7. 医療者向け補足・参考資料 

  • WHO 2020 身体活動ガイドライン 

 免責事項 

本記事は一般的な健康情報を提供するもので、医療行為や診断を代替するものではありません。ご自身の健康状態に不安がある場合は、必ず医師・理学療法士等に相談してください。 

タグ: #フレイル予防 #在宅リハビリ #高齢者筋トレ #サルコペニア #たんぱく質